「市田柿」発祥の里 長野県高森町-市田柿のふるさと(ウェブ版)

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市田柿のふるさとウェブ版

第3章 全国ブラントへの道のり

健康食品としての干柿に注目

【新発想の加工食品も続々登場】

干柿は医者いらずの健康食品

干柿が健康食品とされてきた歴史は古く、江戸時代には『本朝食鑑』にその効用が紹介されています。『…脾を健やかにし、腸を渋らし、嗽を治し、血を止め、反胃を能く安定させる。…(略)…柿が酒毒を解することがよくわかった。』とあり、脾臓を健康にし、下痢をとめ、咳や吐き気をおさえ、お酒の悪酔いを防いだり、火傷にも効くなどと書かれています。

しかし従来、干柿は年末からお正月にかけて出回る季節品で、年間を通じて手軽に食べられるものではありませんでした。最近は、冷蔵・冷凍の技術も進歩し、保存方法によっては一年中食べられることから、健康食品として注目が集まっています。

干柿は甘柿とくらべて栄養価が高く、特にカロテン、カリウム、食物繊維の含有量の多さが特徴です(右下の表参照)。カロテンは体内でビタミンAにかわり、免疫機能を高めたり、発がん予防の働きをします。カリウムは、心臓や筋肉の機能を調節したり、血圧を正常に保ちます。食物繊維には、便通改善や大腸がん予防の効果があります。

生柿の状態での糖分は、ショ糖が六十~八十%を占め、残りがブドウ糖(二十~十%)と果糖(二十~十%)に分かれていますが、干柿に加工すると、ショ糖が分解されてブドウ糖五十%と果糖五十%へ変化します。干柿の表面の白い粉の正体はブドウ糖です。ブドウ糖は体内への吸収が早く、筋肉や脳のエネルギー源として重要な物質です。


渋柿の渋みの正体は?

干柿の原料となる渋柿は、生柿の状態では渋くて食べられません。これは、タンニンと呼ばれる渋味成分が原因です。乾燥や加温、アルコール、遠赤外線などの脱渋処理を施すことで、タンニンが水溶性から不溶性へと変化します。口の中でタンニンが溶け出さないため、食べても渋みを感じなくなるのです。タンニンが消滅するわけではありません。

タンニンはポリフェノール類の一種です。ポリフェノールは、動脈硬化や脳梗塞を予防したり、アンチエイジングに効果があるといわれています。日頃からストレスで体内に活性酸素がたまりやすい現代人にとって、活性酸素は免疫や機能の低下・阻害を引き起こす原因になると考えられています。ポリフェノール類には、この活性酸素の働きを抑える効果があるといわれています。

干しブドウやマンゴーなどのドライフルーツにはポリフェノールが多く含まれていますが、平井俊次教授(飯田女子短大)の研究(右ページ下の表参照)によると、市田柿のポリフェノール含有量は市販のドライフルーツ類の5倍以上にも相当します。

漬物、春巻き、ドレッシング…新発想の加工食品も

市田柿は干柿として食べるだけでなく、料理や菓子類にも利用されてきました。正月料理のなますに加えたり、柚子やくるみと一緒に巻いた柿巻き、柿酢などは古くから親しまれてきた食べ方です。

最近では、地元の和・洋菓子店でも、市田柿を使った新商品が続々と登場するようになりました。市田柿を生のまま使ったみそ風味の漬物や、柿の甘さが引き立つドレッシングなど、菓子類以外の商品も話題となっています。

また、下伊那農業高校アグリサービス科では毎年、市田柿を使った料理や菓子を作る調理実習が行われています。市田柿の消費者層が年配者に偏っていると危惧される中、生春巻きやハンバーグ、柿パイなど、アイデアと趣向を凝らしたオリジナル料理が考えだされています。

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第3章 全国ブランドへの道のり

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